【オンライン相談室ぽっぺん】孫に絵本を読みたい(失語症)
オンライン相談室ぽっぺんを開設して2か月。少しずつではありますが、相談ご希望の方が増えてきました。本当にありがとうございます。
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今回ご相談いただいたのは失語症のAさんでした(個人情報保護の観点から、情報は一部改変しております)。
失語症って?
失語症(しつごしょう、aphasia)とは、高次脳機能障害の1種であり、主には脳出血、脳梗塞などの脳血管障害によって脳の言語機能の中枢(言語野)が損傷されることにより、獲得した言語機能(「聞く」「話す」といった音声に関わる機能、「読む」「書く」といった文字に関わる機能)が障害された状態である。
「聞く」「話す」「読む」「書く」全てのモダリティが障害される。よって、構音器官の麻痺などによる運動機能障害、先天的な構音器官の奇形などによる器質性障害など所謂構音障害とは異なる。また、声の出なくなる失声症などとも異なる。
(ウィキペディア(Wikipedia)より引用)
つまり 脳卒中により「聞く」「話す」「読む」「書く」のすべてに障害を受ける疾患を言います。
有名な方で言うと、 読売ジャイアンツ終身名誉監督の長嶋茂雄氏は、この失語症を患っていらっしゃいます
孫に絵本を読みたい
今回オンライン相談室ぽっぺんでのご相談者Aさんは、この「失語症」。ご希望は遠方で暮らすお孫さんとの交流を図りたいとのことでした。オンラインを使って私とのセッションをしながら、お孫さんと交流につなげることを目標にしました。
交流…それは、絵本の読み聞かせ
絵本を読む練習をしよう
まずはAさんが絵本を読めなければなりません。お孫さんがお好きだという絵本1冊用意していただき、私も用意。ご家庭でまずは、ご家族と何度も練習をしていただきました。うまく言うことはできなくても良いので、全文を暗記できるほど読み込むようお伝えしていました。
基本はご家族の方が読むか、斉読(同時に読む)をしていただいています。
オンラインで練習しよう
さあ、いよいよ、オンラインのビデオ通話での練習です。Aさんの失語症の特徴として、「頭文字」を聞けば、何とか単語が言える方でした。そのため絵本を読む場合も、頭文字さえ教えてあげられれば言えるかな?と思える状態です。
私が絵本を見せながら、頭文字を口頭でお伝えします。するとそれにつられて単語を言うことができました。何度も読み込んでいる絵本と言うこともあり、比較的スムーズに言えています。
くり返し練習することで、多少の頭文字のヒントは必要ながらも、パソコンの画面に向かって読み聞かせができるようになりました。
お孫さんへの読み聞かせ
さあ、いよいよ本番です。ご家族に協力していただきながら、Aさんとわたし、そして遠方のお孫さんの3人で同時にオンライン通話を開始。
オンライン相談室すごい!だって3人とも別々の場所なのに、繋がれるなんて!
私が絵本を画面に向けながら、Aさんが読み聞かせます。そのお話を、スマホ越しにお孫さんが聞いています。距離は離れているのに、ことばのサポートを受けながら、離れているお孫さんに直接読み聞かせができる。
読み聞かせが終わり、お孫さんの嬉しそうな顔。それ以上に目じりの下がるAさん。無事に目標が達成できました。
その後
ちなみにその後も熱心に絵本を読む練習をするAさん。片麻痺があり、絵本のページをめくりながらパソコンの画面を見つつ読み聞かせ・・・はさすがにできない為、あらたな手段を検討中。
読み聞かせの度に、私の支援を受けていては不自然です。自力でお孫さんと交流が図れる仕組みを作って、わたしからの支援を受けなくても楽しめる。そうなってほしいのです。ですから、今は、新しい方法を提案して練習中です。しばらくは私との相談室はせず、自力でやっていただいています。結果が楽しみです。
オンライン相談室ぽっぺんは、オンラインだからこそできること。それを日々模索しています。私の夢は北海道から沖縄まで、全国の方々とつながること。そのために日々、繋がり方を考えています。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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