【戸別訪問】活動に彩りを
施設への戸別訪問
びぃどろとしての仕事の中には、施設訪問があります。これは契約している施設さんへ、私が訪問し、施設職員に対してアドバイザーとして介入することが目的です。
施設訪問で最も多いのが、昼食時間のご訪問です。施設全体の食事環境を確認し、食事介助方法、食事形態、食事全般のマネジメントを行なっています。嚥下障害を抱える利用者さんが多い施設では、スタッフの方の緊張感は高く、なるべく本人もスタッフもみんなが安心して楽しく食事時間を共有できるようにするために、食事アドバイザーと言うか、リスクマネージャーというか、コンサルというか…そんな仕事をしています。
活動時間をコーディネート
とはいえ、全員が食事に指導を必要とする状態であるわけでもないので、そういったご利用者さんへのかかわりに、アドバイスはしないのかというと、そうでもありません。
食事以外への介入。それは「活動時間」のアドバイザーも行なっています。障害の状態に合わせた活動のアイデアの引き出しとしての介入です。
アドバイス例
例えば訪問施設の利用者さんに、知的発達の影響で、両手をこすり合わせる動きをする方がいらっしゃいます。常同行為のひとつです。その行為の延長として、ティッシュなどを持ったままこすり合わせるので、ティッシュで延々とこよりを作るのです。
ある日、訪問に行くと製作活動の一環として、アクセサリー作りをされていました。ここで作成したものは、イベント販売などで出品するのです。集団で行うため、少しでも利用者さんそれぞれの特性を活かして活動に参加していただこうと、職員さんも工夫をされていらっしゃいました。
そこに前述の常同行為のある利用者さんもいらっしゃいましたが、なかなか制作活動自体に参加することが難しい状態。もちろん、無理に活動をさせることは好ましくはなく、本人にとって一番リラックスした状態で空間共有するにはどうしたらいいのか考えてみました。
そこで、その方の目につくところにある物を並べてみました。
羊毛フェルトです。これを千切っていくつか並べてみたところ…
持った!
こより始めた‼︎
結構キレイ!!!
そしてこんなのを作ってみたら…
何かできそう!何に加工しようかな〜♪と、職員さんから材料を持ってきていただき、ワクワクと…(о´∀`о)とりあえず私の希望で…ピアスは?
お、オシャレ♪
しかし、これまでにピアスを作ったことがないとの事で、ピアス用の金具が無いと…ちぇ(もらう気だった笑)
そこで材料を漁ってできたものが、こちら‼︎
まぁ、私のセンスは置いておいて(^^;)
この方のように、障害や特性の影響で、活動ができない場合も多くあります。その空間を共有するだけで意味がある…と言うことも大切ですが、こう言う形で共同作業が行える、と言うことを職員さんに伝えたいと思ったのです。
スタッフに一番満足してほしい
なぜそんなことを伝えたかったのかと言うと、職員の方々にも“達成感”を持って欲しいのです。
「なかなか一緒にできる活動が見つからなくて…」
職員さんがポツリとつぶやきました。利用者さんに対して、本当に熱心に関わっている施設さんだからこそ、どうにかしたいという想いも伝わるのです。
その職員さんの想いを形にして、少しでも活動を共有できた達成感を感じ、味わってもらえれば。
外から息吹きを吹き込む
日々ケアに追われていると、こう言うアイデアを生み出す余裕がないこともしばしばあります。私の介入によって、利用者さんはもちろんですが、職員さんの中にも新しい風を吹かせることができればと思いながら活動しています。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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