【びぃどろ講座】台風がてんかん発作を呼ぶ!?

『暮らす』について, だんらん作りの知恵袋

今週の中旬に、大型の台風が日本列島に迫っています。私の暮らす地域が直撃する可能性が高く、防災準備などを行なっています。皆さまも、被害が出ませんよう、十分に備えてください。

今日はこの台風とてんかん発作の関係について。

台風が近いと体調悪くなる!?

よく、おばあちゃんが「雨が近づくと関節が痛む・・・」なんて口にすることがありませんか?
私も以前はひどい頭痛持ちで、気圧の変化に敏感でした。雨の前にはよく頭痛を起こしたものです。関係があるのかないのかわかりませんが、この頭痛は出産後には落ち着き、今ではさほど頭痛に苦しめられることはなくなりました。とはいえ、やはり台風前には頭が重いような気分になることもあります。

気象病ってご存知ですか?

こういった、雨の前になると頭痛がしたり、関節痛がすることを『気象病』と言います。この気象病は雨による湿度の変化・・・ではなく「気圧」の影響で全身の変化が起きるために生じるものなんですよ。

雨や台風の前は、低気圧が生じます。それにより身体全体が膨張してむくみ(浮腫)が生じ、その影響で全身の倦怠感が起こったり、血管や関節などの軟部組織が膨張し、周囲の血管や神経を圧迫することで頭痛や関節痛を引き起こします。また、細胞の膨張によりヒスタミンという物質が増えることで、 痛みに対し敏感な状態になるそうです。

台風とてんかん発作の関係

私は脳性麻痺という診断を受けている利用者さんを、多く担当していますが、脳性麻痺の特徴から、てんかん発作を合併している方が非常に多いです。そして、その方々の多くは「台風前なので調子が悪い・・・」とおっしゃいます。

私はてんかんの専門家ではないので、この事象については正確にお話しすることはできませんが、この事象自体は事実ですし、本当に驚くほど台風の発生に合わせて体調を崩す方が増えます。

脳性麻痺の方の特徴

ここからは完全に私の個人的見解になります。

脳性麻痺の方の多くは、他者からの身体的支援を受けて生活しています。そのため、自分の命を他者に委ねて生活することになるのです。
以前、会話のできる脳性麻痺の方から伺ったのですが「食事で食べさせてもらうとき、やり方によっては喉に詰まりそうだから、すごく怖い」という話がありました。全介助で過ごしている方の場合、他者の介助方法によっては命の危険すらも感じたりするのです。とすると、そのような方々は介助者の触れ方、視線、声かけなどのすべての動きに非常に敏感になっています。そう、わずかな変化にさえも敏感にアンテナを張りながら、生きているのです。

敏感だからこそ

上述の「気象病」は、具体的なメカニズムが解明されていないものの、その存在は認められています。そのため、気象(特に低気圧)が、人体になんらかの影響を与えていること自体はほぼ間違いないと考えられます。

脳性麻痺の方のように、わずかな動きに敏感な方々にとって、この身体の気圧によるわずかな変化を感じ取ることは、ある意味当たり前ではないでしょうか?そしてそれがてんかん発作につながる、ということもある意味当たり前と考えられます。

しかし、この気圧の変化を止めることは、日常生活の中では不可能と言えます。ですが、気象予報の発展から、具体的に事前予測できることでもあるため、低気圧の期間は刺激を控えたスケジュールに変更したり、服薬での調整を相談することもできるでしょう。

そして、てんかん発作に関する話からはそれますが、やはり他者による介助のみで生活をしている方は、日々他者の動きや変化に過敏です。極端な話、介助を受ける際に身の危険を感じたとしても、避ける手段がないのです。

だからこそ、声かけ・視線・触れ方には、必要以上に配慮をしなければいけないなと感じています。そして、その都度確認し、どの関わりが良かったか、逆にいけなかったのかを自己フィードバックし、次の関わりに活かしていかなければいけません。
でもこれって、きっと、敏感な方々への対応・・・ではなく、どんな方へもそうしていくべきことなんでしょうね。特にこういった利用者さんからは、人との関わりの根本を教えていただいているなと感じたりしています。

タイトルに比べて話が逸れました。
台風の被害が起きませんよう、そして、台風に伴う体調不良などが起きませんように。
皆様の安全をお祈りいたします。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。

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