【びぃどろ講座】あなたもある?声が出にくくなった!?

『はなす』について, だんらん作りの知恵袋, 未分類

先日、ニュースでこんな記事がありました。

声優・代永翼、発声障害を告白 活動制限へ「再び元気な姿をお見せしたい」
https://www.iwate-np.co.jp/article/oricon/2148971

今日はこの「発声障害」について

発声障害とは?

発声障害とは、声の素を作るための2枚のヒダである「声帯」自体の異常によって、声に異常をきたす状態を言います。具体的には、声が出しづらいとか声の質が悪い、などです。

この声帯に異常をきたすとはどういうことでしょうか?

声帯を動かす神経の異常

この声帯は反回神経(はんかいしんけい)という神経によって動かされます。ですからこの神経が麻痺すると、声が出なかったりかすれたりします。

この反回神経麻痺は、ウィルス感染や喉周辺のがん、あと、心臓の手術の後遺症などで起きることもあります。

ちなみに私は、2年ほど前に甲状腺全摘手術をしているのですが、その際に手術の後遺症で左の反回神経麻痺を患い、一時的に声や食事への影響が出たことがあります。私の場合は、一時的なもので軽快しましたし、幸い専門職なので、自力でトレーニングをして、現在は後遺症はありません。

声帯の運動障害

声帯を動かす神経というものがあるのはわかりますが、その神経が繋がっているもっと上の方。そう、脳などの中枢部分の異常による発声障害もあります。

これはタイプがいくつかありますが、代表的なものが痙攣性発声障害と言われるものです。声帯自体が震えて痙攣してしまい、声をうまく出せないものです。

声帯自体の異常

神経はうまく機能しているけれども、声帯自体が歪んでいたりする場合も、声に異常が出ます。有名なものが「声帯ポリープ」や「声帯結節」です。あとは、生まれながらにして声帯が歪んでいる方もいて、そういう方は「ハスキーボイス」になったりします。

ちなみに私も声帯が生まれつき歪んでいて、ハスキーボイスです。そのせいで昔はよくからかわれたものです(・_・; そしてハスキーで喉を酷使するため、声帯結節も出来やすいので、日々気をつけて声を出すようにしています。

なんか、私、声の問題が多いな(笑)

精神的なもの

また、そう言った異常は全くないのに、精神疾患などを患っており精神的な要因から、声が出せない状態になることがあります。これが心因性の発声障害と言われるものです。

この心因性発声障害は、突然声が出せなくなることで始まります。何らかのストレスが、声を出せないという身体症状に転換されているのです。

その場合は精神療法などが必要になります。

全部当てはまらない発声障害

さて、いくつかのタイプを記載してきましたが、このどれにも当てはまらないけれども、声が出ない。そういう状態になることがあります。

「機能性発声障害」と言います。これは「筋緊張性発声障害」と「変声障害」に大別されます。

※資料によっては、前述の「痙攣性発声障害」と同じように扱われていることもありますが、音声言語医学会の定義では別のものとされています。

「筋緊張性発声障害」は、発声時に声帯を強く閉めてしまうタイプと、逆に十分に閉めることができないタイプがあります。喉の筋緊張のコントロールが苦手なんですね。

「変声障害」は、いわゆる「声変わり」の時期を過ぎても、声変わり前の高さの声を出し続けようとしてしまう疾患を言います。思春期の男性に発症するものですね。

声が資本の声優さん

声を資本とする仕事の声優さんにとって、「声がうまく出せない」ということは死活問題です。かくいう私も、声が資本と言えますが、何度も言うとおり、私自身も発声障害を持っています。

喉周りの緊張が高いので、喉をつめて話してしまう。声帯が歪んでいるので、余計に痛みがある。そのため、大声を出したりカラオケなんて辛いだけ。…と言った具合です。

私の場合は、原因もわかっているので、ある程度セルフケアで維持できている部分も大きいのですが、なかなかそうもいかない方が多いと思います。

今回声優の方が発声障害になられたとのことで報道されています。どのタイプかははっきりとはしていませんが、適切な診断のもと、治療をされて復帰してほしいなと思います。

なかなか馴染みのない「発声障害」ですが、声ってとっても大切なものですね。皆さんも、ご自分の声って、どんな感じかな?と振り返ってみてくださいね。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。

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